26.04.22
NEW
睡眠と認知症
こんにちは、医師の中島です。 前回の最後、深い睡眠には成長ホルモンだけでなく、脳の老廃物の排出という重要な働きも関係しているというお話をしました。 脳は日中の活動によって、アミロイドβというゴミをため込み、これが蓄積するとアルツハイマー型認知症を発症すると考えられています。 そのため、睡眠中にそのゴミを洗い流して脳を洗浄するのですが、実はそれが行われるのが深い睡眠のときなのです。浅い眠りでは、そのゴミ処理が行われません。 ところが、中高年にさしかかると、平均的に眠れる時間は6時間半以下になります。「夜中に目が覚める」「ぐっすり眠れなくなる」のは、加齢による自然な変化です。ところが、「8時間睡眠」にこだわって「睡眠薬」に頼り、かえって寝すぎてしまい、睡眠の質を下げているのが実情です。 スイス・チューリッヒ大学のDaniel Aeschbachという研究者が、1996年に短時間睡眠者と長時間睡眠者の比較についての論文 (※ Homeostatic sleep regulation in habitual short sleepers and long sleepers.)で、 睡眠時間が平均6時間未満の人(ショートスリーパー)と9時間以上の人 (ロングスリーパー)で、それぞれ深い睡眠の量がどれくらいあるかを発表しました。その結果、6時間未満の人は70分以上が多く、9時間以上の人は50分未満が多いという結果が出ました。 9時間以上の人と比較すると、6時間未満の人のほうが20分以上も深い睡眠が多かったのです。 つまり、睡眠時間が短いほうが、深い睡眠の量が増えるということになります。意外ですよね。 そこで認知症予防のために中高年の方々に推奨されているのが、8時間以上などの長時間睡眠にこだわらず、逆に睡眠時間を短くするという発想です。睡眠時間を短くすることで睡眠の密度が高まり、深い睡眠になりやすいことがわかっています。 では、どれくらい睡眠時間を減らせばよいのでしょうか。「睡眠時間の長さ」と「10年後の死亡危険率」の関係について調査したデータ(北海道大学大学院の玉腰暁子教授)では、中高年にとって最良の睡眠時間は7時間前後と考えられています。8時間以上は必要ありません、むしろ死亡リスクが高まります。7時間前後の睡眠であれば、十分な深い睡眠が得られ、脳内のゴミ処理が行われ、認知症を予防できる可能性があります。 中高年に必要なのは、睡眠時間を増やすことではなく、余分な睡眠を削ることです。 次回から紹介する「睡眠の鉄則」をぜひ、生活に取り入れてみてください。 週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。

























