26.10.19
NEW
え、ピロリ菌はあの癌のリスク因子にもなる?
おはようございます。医師の秋山です。 今回は、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)の話です。 私は以前、ピロリ菌が大腸がんのリスク因子になっているという解説をしました。 https://www.fukuoka-tenjin-naishikyo.com/blogpage/2026/07/20/17001/ ピロリ菌と言えば、胃がんの原因菌ですが、大腸がんのリスクも上げるとは厄介な菌ですよね。 そして最近、ピロリ菌が膵がんのリスクも上げるのではないかという報告も出てきました。 Yamamoto S,et al,” Helicobacter pylori Infection and the Risk of Biliary Tract and Pancreatic Cancers: Subsite-Specific Associations in a Japanese Population”Int J Cancer. 2026 Jul 14. 日本人を対象とした研究です。 417例の膵がんの患者さんと、対照として3,086例を比較しました。 結果は、 ・ヘリコバクター・ピロリ菌抗体が高いと、膵がん全体のリスクが上昇した。 ・ヘリコバクター・ピロリ菌抗体が陰性でも、萎縮性胃炎があると膵頭部がんのリスクが上昇した。 とのことでした。 萎縮性胃炎とは、ピロリ菌が胃の中に住み着いて、胃の粘膜が焼け野原になっているようなものだと考えてください。 それにしてもなぜ胃に住んでいるピロリ菌が膵がんの原因になるんでしょうか? ピロリ菌が胃の中に感染すると、胃の中が焼け野原になり、萎縮性胃炎という炎症を起こします。すると、胃酸分泌力が低下してしまうんです。 これにより、胃や十二指腸に住み着いている腸内細菌叢が変化して、発がん性物質を産生する菌が増えてしまいます。十二指腸と膵臓は膵管で繋がっていますので、この発がん性物質が膵臓にまで及んで、膵がんを発症するのではないかと言われています。 非常に興味深いです。 それでは、ピロリ菌を除菌すると、膵がんのリスクは低下するのでしょうか? 実はそれについて調べた報告があります。 Wiklund AK,et al,” Risk of pancreatic cancer after eradication treatment of Helicobacter pylori”Eur J Cancer. 2026 Jan 17:233:116192. 北欧5カ国の研究なのですが、この研究結果をまとめると ・ピロリ菌除菌により、膵がんのリスクが年々低下し、除菌後6年以降はピロリ菌陰性と変わらないリスクになる とのことでした。 これはつまり、除菌することにより、焼け野原である萎縮性胃炎が少しずつ回復していくからだと思います。 萎縮性胃炎が回復してくると、胃酸分泌も増えてきますので、それによって元の腸内細菌叢に戻っていくのではないでしょうか。 この研究結果を見ても、ピロリ菌感染は膵がんのリスク因子にもなりそうな気がしますね。 つまり、ピロリ菌感染により、胃がんだけでなく、大腸がん、膵がんのリスクも高くなるということになりますね。 ピロリ菌感染している人は、早めに除菌治療を行いましょう。 それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。

























