25.01.29
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日常生活に潜む罠 飲み物編
こんにちは、医師の中島です。 毎日、外来には便通に悩んでいる方々が来られますが、特に冬場は便秘になりやすい季節です。 その原因は様々ですが、特に水分の摂取量が減ることが大きな要因の一つになっています。 冬はあまり汗をかかないため、喉の渇きを感じにくくなります。また、感染対策などでマスクをしている方も多く、口や鼻の中が乾燥していると感じにくくなる傾向にあります。しかし、冬は空気が乾燥しがちです。室内も暖房器具を使用することで空気中の水蒸気量が減って乾燥しやすいので、知らず知らずのうちに体から水分が奪われて、“かくれ脱水”に陥ってしまうことがあります。 体が脱水状態になると腸からの水分吸収も増えてしまうため、便中の水分量が減って硬便になり、便秘になりやすいというわけです。 こまめな水分補給はとても大切ですが、患者さんの中には味気のない水は飲みにくいので他のものを飲みたいという方も少なくありません。もちろん、水でなくても、ノンカフェインのもの(カフェイン入りは利尿作用があるため)を摂っていただければ結構ですが、市販の飲み物の中には砂糖や食品添加物を多く含み、逆に身体に負担をかけてしまうものもあるので注意が必要です。 そこで今回は、数ある食品添加物の中でも、多くの飲料水に使われていて、「これは避けたい」という成分を紹介していきます。 危験な人工甘味料 脳や腸に影響を及ぼすアスパルテーム アスパルテームは砂糖の180~220倍もの甘さがあり、少量でも甘みを得られます。また、安価なため、市販の飲料水やお菓子に多く使用されていますが、最も危険性が高いといわれる甘味料の一つです。長期間とることで、肥満や糖尿病、認知症、不眠症、全がんのリスクになり、目や耳などの感覚器官、胃腸、皮膚、ホルモンバランスにも悪影響をもたらします。特に妊娠中に過剰摂取すると、胎児の腸内細菌叢に悪影響を与えたり、早産や喘息、アレルギーのリスクになる可能性が報告されています。 cf. Debras C, Chazelas E, Srour B, et al. Artificial sweeteners and cancer risk: Results from the NutriNet-Santé population-based cohort study. PLoS Med 19; e1003950, 2022. cf. Leth-Moller M, Duvald CS, Stampe S, et al. Transplacental Transport of Artificial Sweeteners. Nutrients 15, 2023. 免疫力を低下させるアセスルファムK 砂糖の約200倍の甘さといわれるアセスルファムKは、胎盤を通して胎児に影響を与え、成長過程において肥満や喘息、セリアック病(※消化機能の低下により便秘や腹部のハリ、体重の減少や成長障害を起こす)のリスクを高めます。また、リンパ球の減少により肝臓にダメージを与えたり、免疫力を低下させるリスクがあります。 甘味料は自然のもの、天然のものを 糖類にはさまざまな落とし穴があります。カロリーや糖質などの問題により、砂糖ではなく甘味料を使用した「ゼロカロリー」「糖質ゼロ」と表記された商品を選ぶ人も多いですが、そのリスクは上記のとおりです。また、甘味料に慣れてしまうと味覚が麻痺してしまう危険性があります。食品を買う前に一度、食品表示を確認するようにしましょう。 甘みをつけるには自然のもの、天然のものなど、なるべく精製されていないものを使いましょう。純粋はちみつやアガベシロップ、黒糖、てんさい糖などは、ビタミン類やミネラル類が豊富に含まれているものもあり、血糖値も上がりにくいのでオススメです。 こんな甘味料にも注意! ガンの誘発要因にもなる【サッカリン】 サッカリンは砂糖の約350倍の甘みとしびれるような刺激の後味を持ち、その他の甘味料と併用されることがよくあります。 使用用途は幅広く、ガム、清涼飲料水、乳酸飲料、お菓子、ジャム、漬物やソース等に使われています。その影響は染色体異常、子宮ガンや膀胱ガン、脊髄反射機能障、運動麻痺、出血性胃炎、下痢、肥満にまで及びます。 いかがでしたか? 普段、何気なく摂っている甘味料ですが、その蓄積で様々な健康リスクがあることが次々に報告されています。そして、その影響は扁桃体の遺伝子発現の変化により子孫まで続く可能性さえ指摘されています。 重要なことは「いかに危険な成分を避け、体に安全なものを摂るか」ということです。 成分表示を見ることを習慣づけましょうね。 週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。