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25.02.26
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魚のこと、ご存知ですか?
こんにちは、医師の中島です。 日本人と切り離せない食材の一つといえば、魚ですね。刺身やお寿司、焼き物や煮物、揚げ物、天ぷらなど調理方法も様々です。 では、皆さんは魚を購入・摂取する際、何を意識されていますか? 魚油に含まれるDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸は、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、LDLコレステロールを減らすなど、さまざまな作用を持っている体に良いアブラなので、積極的に食べることを推奨されています。 アメリカでは17万人を対象にした研究で、オメガ3脂肪酸を多く摂取したグループが、しないグループに比べて41%も大腸がんによる死亡を減らせるという研究結果が出ています。 しかし、魚には「食物連鎖による生体濃縮」という落とし穴があります。水俣病の原因物質として知られる有機水銀は、直接魚を口にする本人だけでなく、妊婦の胎盤を通じて生まれてくる赤ちゃんの言語や知能にまで障がいのリスクを伴うことが明らかになってきました。 海には無機水銀が存在していますが、これが微生物によって毒性の強い有機水銀に変わります。そしてプランクトン、小魚、中魚、大魚と食物連鎖を通じて濃縮していくため、上位であるマグロなどの魚には有害ミネラルが蓄積されている可能性が高く、また、有機水銀の濃度は小さなプランクトンと比べると桁違いに高くなっています。 養殖魚と天然魚の違いにも気をつけたいところです。健康に良いオメガ3脂肪酸が豊富なサーモンは人気の高い魚ですが、健康に良いのは天然のサーモンであり、養殖サーモンではありません。 養殖のものはジャンクフードに近く、健康になるメリットよりも病気のリスクの方が高いのです。 ●養殖魚の「危険」①高脂肪のエサ 養殖魚は人工的にできるだけ「旬」に近い状態に育てられます。自然界にはない、合成されたオメガ6脂肪酸が豊富な高脂肪のエサを与えられ、サーモンの場合だと肉質の7割以上が脂質になります。これは天然サーモンと比較すると約2〜5倍にものぼります。天然魚は炎症を抑制するオメガ3脂肪酸を蓄えているのに対し、養殖魚は炎症を促進するオメガ6脂肪酸が豊富なエサで育つため、体に含まれる良い脂肪分の割合はかなり低いのです。 ●養殖魚の「危険」②有害物質 狭いいけすの中で密飼いされる養殖魚には、病気を防ぐために抗生物質や合成抗菌剤が投与されます。 結果的に、それが魚の体内に有害物質を溜め込んでしまう原因になるのです。 天然魚と養殖魚の違いを理解すると、「旬」の天然魚の希少性と安全性がわかります。 さらに、どのようにして魚を食べるかも重要なポイントです。てんぷらやフライのように油で揚げてしまうと、オメガ6脂肪酸である植物油の摂取量が急激に増えてしまいます。また、刺身だと摂取できるオメガ3脂肪酸の量はほんのわずかなので、焼き魚や煮魚にして食べるのがおすすめです。 最後に魚を選ぶ時のポイントです。 積極的に摂ることをおすすめなのが、肘から先より小さいサイズの魚です。そのサイズであれば、生体濃縮による有害物質の蓄積が低いということになります。小型の青魚、例えば、いわし/さんま/にしん/さば/あじなどです。あとは、国内産の天然魚やサーモン、ブリなどのDHA・EPA(必須脂肪酸)を多く含む魚もおすすめです。 一方、大量に摂ることを控えた方がいいのは、食物連鎖の上位に立つ大型の魚(例:まぐろ)や、有機水銀が沈澱しやすい海底に棲む魚(例:きんめだい/かれいなど)、養殖の魚です。 いかがでしたか? 毎日の食卓で口にする機会が多いからこそ、正しい選択基準を知り、その「理由」を理解した上で食卓に出すことが家族の健康を守ることにつながりますね。 週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。