
25.08.20
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身体が喜ぶ食べ合わせ術 part 10
こんにちは、医師の中島です。 暑い日が続いていますね。炎天下で汗をかいた後、冷房の効いた室内に入るとその瞬間は気持ちいいですが、汗で濡れた肌や衣服が冷房で冷やされ、次第に寒さを感じることはありませんか? 身体が体温を維持しようと、手足の血管を収縮させ、血行が悪くなり、手足から冷えていくためです。また、夏場は冷たい飲み物やアイスクリーム、冷奴や冷製スープなど冷たいものを摂る機会が多く、身体の内側からも冷えてしまいます。 「夏の冷え性」といわれるものです。 夏の冷え性は自律神経を乱し、頭痛やめまい、倦怠感、消化機能の低下(食欲低下、胃もたれ、腹痛、便秘、下痢など)を引き起こします。 実際、摂取した飲み物の温度で、胃の動きがどう変わるか調べた研究(脇坂ら、日本栄養・食糧学会誌、2011年)では、15℃の冷水で胃の動きが低下したとあります。これは15℃の冷水を体温と同じ37℃前後になるまで胃の中にとどめるために、胃の動きが低下したからだと解釈されています。 もちろん、冷房の効き過ぎる場所は避ける、長袖を1枚羽織る、靴下を履くなど、体を冷やしすぎないような工夫や、夏場こそ湯船につかって血流を良くし身体を温めることなども大切ですが、熱を産み出す食材を意識的に摂り、身体の内側からも温めることが重要です。 そこで今回は体内の熱を産み出す栄養素である、ビタミンB1とビタミンEについてのお話です。 テーマ : ビタミンB1とビタミンE 目次 : 1, 夏の冷え性の要因 2, 冷える身体に必要な栄養素はこれだ! 3, 理想の食べ合わせ 夏冷えの要因 ①熱産生量の低下、筋肉量の低下 運動不足によって筋力が低下したり、不規則な食生活が続いて必要な栄養素が摂れていなかったりと、身体の熱をつくるエネルギーが不足している状態。 ②血行不良 寒さで血管が収縮したり、ストレスによる自律神経の乱れなどによって血液循環が悪くなるなど、手足のすみずみまで血液が届きにくくなっている状態。 ③冷房の効き過ぎ ④冷たい飲食物の摂り過ぎ 冷える体に必要な栄養素はこれ! ●体内の熱を生み出す「ビタミンB1」 ビタミンB1は、摂取した糖質(ブドウ糖)を燃やし、エネルギーをつくりだす際に必要な栄養素です。特に夏冷えで身体が冷えると、身体が寒さに対抗しようと多くのエネルギーを消費して、体内で熱をつくり出そうとするため、ビタミンB1の消費量が増える傾向にあります。ビタミンB1が不足すると、たちまちエネルギー不足になって身体が冷えるだけでなく、身体も脳も疲れを感じやすくなり、注意力や集中力を欠いてしまいます。 ●血行を促進する「ビタミンE」 ビタミンEは、手足の細い血管を広げて血行を促進し、身体に必要な酸素・栄養素を全身に行き渡らせることで体を温めます。また、脂質の酸化を抑えて血液をサラサラにするため、血栓や動脈硬化予防にも役立ちます。全身の血行が良くなることで、冷え性や肩コリ、腰痛、頭痛なども改善され、新陳代謝が活発になることで、夏の強い紫外線でダメージを受けたお肌にも効果的です。 他にも、熱を生み出す筋肉をつくる良質なタンパク質を摂取したり、血液の材料となる鉄分の吸収を促進し毛細血管を強くするビタミンCを補ったりするなど、食事から冷えない体づくりをしていきましょう。 「ビタミンB1+ビタミンE」の理想の食べ合わせ 十割そば✖️ほうれん草 そばは胚芽や甘皮をそのまま挽いており、タンパク質や鉄、マグネシウム、カリウム、リンが豊富ですが、中でも群を抜いてビタミンB1が豊富で、その量は米やうどんの2~3倍。つなぎを使用しないそば粉100%の「十割そば」がおすすめです。 ほうれん草は緑黄色野菜の王様とも呼ばれ、ビタミンEの他にも、高い抗酸化作用で風邪を予防するβ-カロテン、ビタミンCや、造血作用のある鉄なども豊富。 小豆✖️かぼちゃ 小豆は植物性食品の中でもビタミンB1が豊富なうえ、水分代謝を助けるため、冷えによるむくみの解消も期待できます。また、ポリフェノールが持つ抗酸化作用により、活性酸素が除去され、血管が広がるので全身の血流改善にも役立ちます。 かぼちゃは脾臓と胃の働きを助け、体を温め、疲労回復に効果的てす。β-カロテンやビタミンC、食物繊維などの豊富な栄養素は皮にも含まれるため、皮はむかずに煮物などにして食べるのがおすすめです。 いかがでしたか? 夏の冷え性は冬の冷え性より厄介とされています。 あと2ヵ月ほどは暑い日が続きそうなので、今回の内容が少しでも参考になれば幸いです。 週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。