
25.04.23
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低GI食品のこと、ご存知ですか?
こんにちは、医師の中島です。 前回は老化、中でも糖化の予防として、低GI食品を取り入れましょうというお話をしましたが、低GI食品は、実は脳のパフォーマンスにも関わっています。低GI食品を摂ることで、継続的な集中力や記憶力アップ、そして仕事や勉強の効率を上げることができます。 まず、おさらいですが、「GI値」とは「Glycemic Index(グリセミックインデックス)」の略で、炭水化物が分解され、糖に変わるまでのスピードを表した数値です。ブドウ糖を100として相対的に表し、数値が100に近いほど食後の血糖値が急激に上がり、低いほど食後の血糖値の上昇がゆるやかになります。 高GI食品は急激に血糖値を上げ、その反動で血糖値が急激に下がり(血糖値スパイク)、血液中のブドウ糖が不足すると、脳もエネルギー不足になります。低血糖が続くと、今度は血糖を上げようとして、アドレナリンが放出されます。アドレナリンは興奮した時に大量に血液中に放出されますが、過剰な状態になると思考力や集中力がなくなり、短気でキレやすくなると言われています。小さい頃から白砂糖たっぷりのお菓子を食べ続けている子供は落ち着きがなく、癇癪を起こしやすい、または鬱になりやすいといわれています。 つまり、高GI食品でどんなにエネルギーを補給しても、持続力がないエネルギーだと(血糖値スパイク)、集中力や記憶力、実行力、セルフコントロールカなどが安定しないというわけです。 そこで、「血糖値スパイク」を起こさず、定期的に脳にエネルギーを供給するためにも、「低GI食」を上手に利用することが重要となります。 低GI食が脳のパフォーマンスに与える効果については、様々な研究によって明らかになっています。 例えば、5〜18歳の子どもたちを対象として、朝食の主食の種類と脳の発達との関係を調べた研究によると、パンを食べることが多い人と比べて、パンよりGI値が低いご飯を食べることが多い人のほうが、神経細胞が集まる脳の灰白質(かいはくしつ)という部分が発達していることが明らかになりました。 Taki Y, et al.: PLoS One 2010; 5: e15213. また、12〜14歳の子どもたちを対象とした研究では、高GI(低GIと逆で食後の血糖値が上がりやすいもの)の朝食と比べ、低GIの朝食を摂ったときのほうが、記憶力や注意力などを調べる認知機能テストの結果がよかったという報告があります。49〜71歳を対象とした研究でも、認知テストのスコアが上がることがわかっています。 Cooper SB, et al.: Br J Nutr 2012; 107:1823-1832 さらに、ご飯食の人はパン食の人よりも、見て記憶したり判断したりする能力(知覚統合指標)が高く、総合的な知的能力(全検査IQ)も高い傾向にあるという結果も示されています。 Taki Y, et al.: PLoS One 2010; 5: e15213. いかがでしたか? 低GI食で血糖値スパイクを防げば、脳のパフォーマンスの維持に寄与するのみならず、実は糖尿病や認知症の予防、ダイエットにも効果的です。 そこらへんのお話はまた次回。低GI食品の具体的な取り入れ方とともにお話していきます。 週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。