
25.05.14
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自律神経、乱れていませんか?
こんにちは、医師の中島です。 今春は、「三寒四温」とよばれる寒暖の繰り返しがダラダラと長引き、あっという間に春が過ぎ去り、25度以上の夏日もみられるようになりました。 こうした季節の変わり目の急激な温度変化や気圧の変化は自律神経を乱し、頭痛や肩こり、だるさ、疲労、うつ状態など様々な体調不良を引き起こします。 特に消化管に関しては、自律神経は胃腸の機能にも大きく関与しますので、その乱れは食欲不振やむかつき、腹痛、ガス溜まり、便秘、下痢など様々な不調をもたらします。 内視鏡検査をしても器質的な異常はなく、症状の原因は一体どこにあるのかと悩まれている多くの患者さんが来院されますが、その原因の多くは自律神経の乱れに起因します。 つまり、症状を緩和するためには、投薬による対症療法のみならず、並行して自律神経を整える視点をもつことが重要になります。 ここで確認ですが、「自律神経」は、体温、血圧、呼吸、消化などの機能をコントロールする神経で、 身体を活動させる交感神経とリラックスさせる副交感神経があり、この2つがバランスをとりながら調子を整えています。 交感神経・・日中働き、心拍・血圧・血糖を上げてハツラツと活動できるようにする 副交感神経・・夜に働き、すべての活動レベルを下げて、体を休息モードに導く この両者がバランスを取りながら働いていることが大切であり、このバランスが崩れると、心身両面で変調をきたしてしまいます。 交感神経が高く、副交感神経が極端に低くなると、興奮・緊張状態が続き、睡眠の質が低下し、胃腸の働きも低下してしまいます。 反対に、交感神経が極端に低く、副交感神経が高くなると、日中やる気が出ず、眠気やだるさが続いてしまいます。 では、乱れた自律神経を整えるにはどうすればいいのでしょうか? 生活のヒントをいくつかご紹介します。 ① 笑いのある毎日を! 大笑いをした後に、頭がすっきりして気分が良くなったという経験をお持ちの方は少なくないでしょう。これは、笑うことによって副交感神経が働き、全身の血流量が増え、体温が上昇して、脳の血液量が増えるという体の仕組みがあるからです。 ② 背骨を中心に温める! 交感神経の中枢は脊髄にあり、そこから全身に伸びています。背骨が冷えると体は収縮し、それが続くと背骨が徐々に歪みます。その歪みは脊髄に影響を及ぼし、自律神経のバランスの崩れにつながってしまうのです。 ③ 呼吸を意識して! 私たちは息を吸うことで交感神経を、吐くことで副交感神経を活性化しています。呼級によって、張りつめた心身のバランスをとることができます。 ●集中したいときに!胸式呼吸 両腕を後ろに広げながら、胸を開くイメージで口から息を勢いよくスッと吸い、胸に空気をためます。ひと呼吸おいて、フッと肩の力を抜いて両手を下げます。 ●リラックスしたいときに!腹式呼吸 緊張や集中状態が続き、疲労感が増したときに。背筋を伸ばして胸を広げ、おなかをへこませるようにゆっくりと口から息を吐ききると、自然と鼻からしっかり吸い込めるようになります。 ④早朝の日光浴&ウォーキング カーテンを開けたり、窓際で朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、交感神経が活性化し、1日の始まりをスムーズにすることができます。 また、幸せホルモンであるセロトニンを増やす効果が期待できます。 適度な運動は、ストレスホルモンの減少やエンドルフィンの分泌を促し、気分を高める効果があります。また、血流を良くして筋肉の緊張をほぐす効果があります。ウォーキングやヨガ、軽いジョギングなど、自分の体力に合わせた運動を取り入れると良いでしょう。 ⑤肩をまわす 肩をまわすことも効果的なリラックス方法の一つです。肩こりや首の緊張は自律神経の乱れにつながることがありますので、肩を大きく回して筋肉をほぐすことで血流を促進し、リラックス効果を得られます。 ⑥自然にふれる 街や公園にある植物を眺めるだけでも効果があります。自然とのふれあいは自律神経を整えるのに有効です。自然の中で過ごす時間を少しずつ増やすことで、心がリフレッシュされ、気持ちが穏やかになります。歩くルートを変えて公園を通ってみたり、緑を眺めたりするとリラックス効果が期待できます。 ⑦趣味に時間を割く 趣味や好きなことに時間を割くことも重要です。自分自身が楽しめる時間を持つことで、心にゆとりが生まれ、ストレスから解放されるきっかけとなります ⑧香りで脳を刺激! 香り(嗅覚系)の刺激は、脳の大脳辺縁系と呼ばれる情動や本能を支配するところに直接伝わるため、香りによって気分が落ち着く、元気になるなど気分にも関係しています。目的に応じて、自分好みのフレグランスやお香など選んでみましょう。 ⑨食事を見直す 食事の見直しも効果的です。栄養バランスの取れた食事は、身体全体の健康を支えるだけでなく、自律神経の調整にも役立ちます。特にビタミンB群やマグネシウムを多く含む食品(セロリ、ほうれん草、バナナ、アボカドなど)は、神経系の働きをサポートします。さらに、マグネシウムは幸せホルモンである「セロトニン」の働きを高めるうえで必須のミネラルです。 いかがでしたか? ぜひ、ご自身のライフスタイルに合う、無理なく続けられる習慣を見つけ、自分自身のペースで実践していきましょう。 日々の小さな習慣が長期的な健康に大きな影響を与えることを忘れず、意識的に取り組んでいきましょう。 「小さな一歩が大きな変化をもたらす」 私の好きな言葉の一つです。 週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。