
25.04.02
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遺伝子組み換えのこと、ご存知ですか?
こんにちは、医師の中島です。 食品の原材料表示などで目にする機会の多い「遺伝子組み換え」。 現在、日本では次の9種類の遺伝子組み換え (GM)作物が使用されています。 とうもろこし、大豆、ばれいしょ、セイヨウナタネ、綿、パパイヤ、アルファルファ、てんさい、からし葉 GM作物が使われることが多い食品に、しょうゆ、みそ、スナック菓子、食用油などがあります。しかし、GM作物の表示義務は納豆や豆腐、コーンスターチなど33の食品群に限られており、その他の食品はどんな原料が使われているかがわかりません。 そもそもGM作物はなぜ作られたのでしょうか? GM作物は主に次のような種類に分けられます。 ・除草剤耐性作物 ある特定の除草剤に対する耐性を持ち、除草剤を散布すると雑草だけを枯らせる。 ・害虫抵抗性作物 害虫に対して殺虫作用のあるタンパク質をつくりだすことで、害虫の被害を減らせる。 ・除草剤耐性と害虫抵抗性の両方を持つタイプ ・その他 耐病性や干ばつ耐性を持つもの、栄養分を強化したものなど つまり、GM作物は農作業上の負担の軽減、収穫量の増加、作物自体の性質を変えることで農薬の使用量を減らすことができるなどの利点が謳われています。 では、今や世界中で栽培が進むGM作物、一体何が問題なのでしょうか。 問題①残留農薬(除草剤)の懸念 GM作物は1996年にアメリカの化学メーカーが除草剤(グリホサート)と、その耐性を持つGM作物の種子を発売したことにより、爆発的に普及しました。 農作業上の負担は軽減できるかもしれませんが、GM作物にグリホサートが残留したままヒトが摂取する可能性は否定できません。 グリホサートによる発ガン性や神経毒性、発達障害との関連性は以前から指摘されており、それらを否定する研究も多く存在しますが、まだリスクへの懸念が根強く残っているのが実情です。 問題②未知数の危険性 GM作物の大規模商業栽培が始まったのは1996年。以来、遺伝子組み換え作物は20年以上食品や飼料として利用されてきました。その間、遺伝子組み換え作物の長期的な摂取と人や家畜への健康影響の関連性は様々な研究により調べられてきましたが、多くの研究では遺伝子組み換え作物の摂取と健康被害との因果関係は認められていません。 しかし、遺伝子組み換え作物に対する懸念の声は、やはり人体に害をもたらすのではないかというものでしょう。GMナタネの蜜を吸ったミツバチの寿命が半分になったという例があったり、GM作物がアレルギーを引き起こしやすくなるのではないかという指摘は根強くあります。 GM作物が人体にどんな影響を与えるかを検証するには、まだ十分な時間が経ったとはいえないかもしれません。 問題③判断しづらい表示 2023年、GM食品の表示制度が改正され、GM作物の混入が一切ないことを証明できなければ、「遺伝子組み換えでない」とは表示できなくなりました。 しかし、生産から流通までの過程で、意図しない混入を完全に避けることは非常に困難です。GM作物についての表示を取りやめるメーカーも増えており、私たち消費者は「見て選ぶ」ことが難しくなってきています。 これまで、GM作物の普及とともに世界中で反対運動が行われてきました。 その最大の理由は、GM作物が「危険」であると断定されたからというよりも、「安全とは言えない」からでしょう。 安全な作物を求める人々からすれば、わずかでも不安を感じる農作物を口にすることはできない、というのも当然のことかもしれませんね。 GM作物が人体に害を与える可能性は極めて低いという意見もあり、安全性についてはグレーというのが現状です。 食品を選ぶ時のポイント ◯積極的に摂ることをおすすめ ・国産原料で作られたもの 現在、日本国内では食用のGM作物の商業栽培は行われていません。そのため、国内で流通しているGM食品は、すべて輸入原料でつくられているとみられます。 ・有機JAS認証がついている商品 有機JAS規格では、GM技術、GM原料の使用は認められていません。 △ 多用することは控えましょう ・安価すぎる食品 GM作物の摂取を減らすためには、安すぎる食品を疑うことも一つの方策です。 いかがでしたか? まだまだ未知の部分が多いGM作物です。 遺伝子組み換え食材を長期間摂取した場合や次世代に与える影響は明らかになっておらず、今後も注視していく必要がありそうです。 週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。